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生徒指導~小学校段階での考え方~【第51回】

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親を元気にさせられるか(下)

 毎年、倍々増で講演会の依頼がやってくる。大した話もしていないのにいいのかと申し訳なく思うことが多い。児童ホーム、認定こども園、地域の老人会、老健、校内研修、市教育研究集会、小中合同研修、企業経営者研修会と8月は連日のように引き受けてしまった。テーマも多岐にわたるが、ポイントは参加者の満足度をどこまで高められたかである。
 よって、質疑の時間を多く設けている。口頭ではできなかった質問があれば、即日返信するようにしている。
 講演後は必ず参加者を出口で見送り反応を確かめている。この年まで経験を重ねると慢心になりかねない。ある程度の目処は立つが、経験に当てはめてはならないことがあることを強く意識して対応しないと判断を間違える。
 一人で思い込む親、責任を感じすぎる親、過敏になっている親が急増している。

 「あなたは、ウサギとオオカミならどっち?」
 「ウサギです」
 「何で?」
 「オオカミに追われていると思います」
 「そのオオカミはあなた自身ですよね」

 このように説明すると、「目から鱗」と言われる方が多い。こうして自分で自分を追い込む親が増えている。その親もそのように育てられて、育てて、育てるの連鎖が起きている。
 専門性とは、難しいことを簡単に喩えて分かりやすく心にストンと落とすことにある。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~