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生徒指導~小学校段階での考え方~【第163回】

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困難が専門性を培う

 「これからの指導主事は全員が教職大学院へ行きなさい」と、豪語した著名な教授がいた。それを聴いてきた指導主事が呆れて「現場を知らないんだよな」と呟いた。
 教員採用試験に受からない為に大学院へ行くものも少なくない。大学院を経ても短大や通信教育で教師になろうとする学生の方が成績が高いこともある。

 児童からすれば、学歴は視野にない。愛情や専門性はいくらでも欲しい。愛情の深さや豊かさが大学院から帰って来た職員を見ても変化したように感じられないものである。
 出来るなら非認知能力を徹底して高めて欲しい。心なき専門性では、児童の心に火を付けることは出来ない。心のある教師にこそ専門性は意味を持つ。

 この基底となる部分は座学では養えない。自分のためになることばかり考えていると、やがて行き詰まる。
 あの子のため、その子のためと考え始めると、視野が広がり、本来持っていた自己のエネルギーが放出を始める。それを様々な場面で実感する事が、専門性を求める意欲へと繋がる。師が率先して行動し、困難な第一線に立っているかが問われる。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~