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生徒指導~小学校段階での考え方~【第169回】

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アニメ作品から学べること

 アニメが舞台化されたセーラームーンミュージカルを観る機会を得た。子どもばかりかと安易に捉えて会場に入った。大人ばかりで、それも最前列には海外の大使館の方々が陣取っておられた。
 アクションあり、ユーモアあり、アニメだから出来る時空間の中に、平和への願いや繋がる命へのメッセージが見事に散りばめられていることに驚いた。
 知らぬ間に涙も流れた。こんなはずではなかった。

 台詞の中に「闇が深ければ深いほど輝きたい。そして、自分の中にある銀水晶のパワーを放出するのよ」と、畳み掛けるように白熱の演技が展開される。
 頼りない月野うさぎが地球の運命をも左右するセーラームーンへと変身を遂げていく姿は、子ども達へ、そして何のためかを忘れかけている大人達への訴えかけがあった。人道主義や生徒指導のポイントが幾重にも重なる。なるほど世界的アニメとなった理由が分かる気がする。

 縁あって上海公演にも出向いた。日本では涙の感動シーンに何故か笑いが起きた。携帯での撮影禁止と言われながらも、ほぼすべての観客がやっていた。驚いたが、驚く私達に彼らは驚いていた。
 笑いの理由は、「自分の事は自分でやる」と教育されているので、「人のため」が理解出来ないからなのだろう。こうした多様な価値観の方と共存する社会が近づきつつある。
 主役が楽屋でポツリと「泣かせる演技より、笑いを取る演技が難しい」と口にしていた。生徒指導も同様である。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~