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コロナ時代に考えたい学校問題【第36回】

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論説・コラム

校長が働き方を変える

 働き方改革が動いているが、どうもその場しのぎのように感じてしまう。残業をしない、させないと本気で考えているのなら仕事を減らす実例を示さないと説得力はない。

 ある会合で、300名の校長に質問する機会があった。「働き方改革で本当に変わると思っている人」と尋ねたところ、大半が諦め顔で否定した。この実態こそが、教育現場の生の声である。

 政治も行政も、タイトルだけで中身のない施策打ち出しと感じている校長達に対して、そうではないと説得出来るのか。それとも資質や力量がなく、従順でないからと排除し、イエスマンのみを重用するのか。この生の声を真摯に受け止めて、抜本的な改革をする意思を示すべきではないのか。
 学校職員も校長も「ブラック」と呼ばれる職場を作ろうなどとは微塵も思ってはいない。そうさせているのは誰で何処か。傍観しているだけでは、追い風になってしまう。

 このままでは、学校現場からの不信不満はさらに高まり、教育効果も下がり、教員志願者も減り続ける事になる。
 こうした道理は当たり前なのに、教員経験のある政治家や行政は、校長達の声を真摯に聴こうとしない。都合が悪くなると沈黙する輩がいる。
 教師を苦しめ追い込む事は国力低下を招く。ならば校長は、上からの指示を待つのではなく職員の仕事を見直し自校なりの可能な対処を願いたい。他は誰もやれないし、やらない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

コロナ時代に考えたい学校問題