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東京・青ヶ島の学校から ~日本一人口の少ない村の学校での取り組み~【第14回】

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青ヶ島小中学校でWEB会議システムを使っての取り組みが始まる

 「○○さん、おはよう。じゃんけんしよう!」と画面を通して、小学1年生同士のやり取りが始まります。「みなさん、おはようございます。元気な人は手を挙げてください。」と画面側から担任が話しかけると、画面の前の児童は元気よく手を挙げていました。

 青ヶ島小中学校では、5月7日(木)と8日(金)の朝8時30分から、WEB会議システムを使って、自宅にいる児童・生徒の朝の健康観察を初めて行いました。

 青ヶ島村では、新型コロナウイルス感染症拡大防止のために4月8日から学校の臨時休業を実施しています。村には、診療所の医師が1名、看護師が1名であり、感染が疑われる事案が発生した際にこれを確定し検査・治療できる体制がないことから、徹底した感染防止策をとる必要があります。
 そのため、学校は臨時休業中にも登校日を設けず、児童・生徒は自宅で過ごすこととしました。学習の課題は、教員が自宅へ届け、週に1回電話での健康観察を行ってきました。学校にタブレットはありましたが、村内は令和2年3月下旬まで通信回線がADSLのみであったことから、WEB会議システムをストレスなく使うことが難しい環境でした。
 4月以降に各住民宅の光回線への切り替えが進んできたことから、5月7日(木)と8日(金)に学校のタブレットを一時的に児童・生徒に貸し出し、WEB会議システムを使っての朝の健康観察を試験的に実施することにしました。
 実施後の児童へのアンケートでは、「友達と話ができたのが楽しかった。」「先生と久しぶりに会うことができたのがうれしかった」と、とても好評でした。
 4月6日の入学式から翌日の2日しか学校に通っていない小学1年生からすると、臨時休業中はとても寂しかったこと、学校へ行くのが待ち遠しかったことが伺えます。画面の向こうの児童を楽しませようという担任の努力も見えました。
 小学1年生を担任する大邑寿世主任教諭は「画面を通して子供たちに話をするというのは、教室で直接対話するのとは違って難しかったです。画面の向こうにいる子供たちの心がほぐれるように、話の内容や注意の引き方など色々と工夫しました。
 でも、子供の存在や反応を肌で感じ取ることはできないと思いました。また、今後授業で使っていくには、まずは教員が慣れることが必要だとも感じました。」と語ります。

 住民宅は逐次光回線に切り替わっていますが、現時点(5月8日)では学校がまだADSLのため、担任側の映像だけ時々停止していました。今後も、緊急事態宣言の延長等に伴い学校を臨時休業する場合には、遠隔授業をスムーズに行えるように、教材の工夫や設備の充実を図っていく必要性を感じました。来島自粛のため、4月から来島できていないスクールカウンセラーとの面談もWEB会議システムを活用して実施する予定です。
 写真は「画面を通して担任や友達と話をする小学1年生」
(木下 和紀 青ヶ島小中学校校長)

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