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「教師の資質」を整理し管理職選考基準などに反映

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文部科学省

文科省

 文科省は4日、教員に求められる資質・能力を「学習指導」や「生徒指導」など五つに整理し、それに沿って教師の育成指標の基になる大臣指針や大学の教職課程を見直す考えを明らかにした。この日開かれた中央教育審議会の特別部会と小委員会の合同会議に試案を示し、これをたたき台に検討する。
 資質・能力の再定義は、3月の中教審への諮問の中で「令和の日本型学校教育」を担う教師の育成・採用・研修の改善の一環として検討が求められていた。
 文科省の試案では教師の資質・能力を、

 ・教職に必要な素養
 ・学習指導
 ・生徒指導
 ・特別な配慮や支援を必要とする子への対応
 ・ICTや情報・教育データの利活用

 ―の五つに整理。それぞれの中で担保すべき能力を「授業や校務にICTを活用するとともに児童生徒の情報活用力を育成するための授業実践を行うことができる」(ICTと情報・教育データ)などと記述した。

 また、管理職に対しても規定し、学校教育に関係するデータを収集・分析する「アセスメント能力」や教職員の意見を集約し、組織をつくる「ファシリテーション能力」などを求めている。
 中教審はこれまでも答申の中で、教師に求める資質・能力を大枠で示してきた。今回は実効性を持たせるため、教育公務員特例法で規定している教師や校長の資質向上のための大臣指針に盛り込み、教育委員会が策定する育成指標や研修計画、管理職選考の基準や大学の教職課程などに反映させる考えだ。
 合同会議では、現職研修の見直しの方向性も示した。特定の教師が、管理職や教委の期待する水準の研修を受けていると「到底認められない」と判断された場合、職務命令によって受講を求める仕組みとすることを提案した。どのような場合に職務命令の対象とするかは今後、文科省がガイドラインなどによって示す。教員免許更新制の廃止後を想定した動きともいえそうだ。

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