「発達ユニークな子」が思っていること
15面記事
精神科医さわ 著
安心して過ごせる環境づくり助言
発達障害は、生まれつきの脳の働きによる「特性(個性)」である一方で、日常生活に生きづらさを引き起こす「障害」の側面も持ち合わせている。著者は児童精神科の臨床医であり、二人の発達ユニークな子の母親としての立場から、そもそも全ての人の発達は皆”ユニーク”なのであるという視点から論を展開している。それ故、本書は「ASDの子にはこの対策」「ADHDの子にはこの方法」といった分類ではなく、「忘れっぽい子」「感覚が過敏な子」といった26の具体的な特性や困り事に分けて、それぞれの特徴や対策を主治医から直接聞いているように、分かりやすく納得感を得られる展開となっている。
第1章で発達障害の理解を促し、第2章から7章までは具体的な事例の解説があり、各解説の最後の著者のつぶやきが印象に残る。第8章の「ふつう」や「多数派」を目指すのではなく、「その子にとって最適な環境はなにか」「どうすれば安心してすごせるか」を一緒に考えていくことが子どもを支える上で最も大切な姿勢であるとの著者の言葉が胸に深く刻まれた。そして終章のどんな発達ユニークな子も「ユニークなその子らしいまま」で安心して生きていける社会になることを願う、で結んでいる。発達ユニークな子を持つ保護者や学校関係者に手に取ってほしい一冊である。
(1760円 日本実業出版社)
(中川 修一・前東京都板橋区教育委員会教育長)

