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色から始まる探究学習

16面記事

書評

アートによる自分づくり・学校づくり・地域づくり
「地域の色・自分の色」実行委員会+秋田 喜代美 編著
美術館等と連携、総合的で深い学び

 訪れる人が「五感で楽しむことができる美術館」をコンセプトにしている大分県立美術館(大分市)。同館では美術館の持つ「教育普及」の機能が大切だと考え、積極的に「アウトリーチ」活動を展開してきた。
 こうした活動が進んでいくためには、担当する学芸員を中心に置きながら、県や市町村の関係者、各地域の教育委員会、学校、教員、研究者らがつながり合い、取り組んでいくことが必要となる。本書では、関係者が実行委員会を組織し、「地域の色・自分の色」をテーマに学校教育における総合的な学習の時間の充実・発展を視野に置いたプログラムを展開する、同館の取り組みを紹介している。
 子どもたちが地域の色を通して図工・美術や科学を学び、それを表現する中で総合的に深く学ぶこの活動は、同県の姫島村からスタートし、県内各地に広がっている。同村で取り組まれた実践内容からは、「『アート』と『学び』がつながること」「子どもが『学びに向かう力』を発揮して探究を深め、思考力・判断力・表現力を伸ばしていること」「子どもが地域の魅力を実感し、愛着を深めていること」などを理解することができる。
 深い学びとして自分の暮らしと地域を探究する学習と教育を進めること、美術館・博物館が積極的に外に出て教育普及機能を発揮することなどが求められる現在。そうした実践に取り組むとともに、地域活性化につなげる上でも参考になる一冊だ。
(2376円 明石書店)
(秀)

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