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生徒指導~小学校段階での考え方~【第187回】

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教科・指導

昨日と比べる評価

 生徒指導の視点から見た優秀な児童は、教科学習の「優秀」とはかなり異なる。しかし、ほとんどの場合、後者しか優秀と評価できない学校や社会がある。人としてそれは正しい評価といえるのだろうか。
 本当に自分が求める優れた人間と、社会が優れたとしている人間は同じにはなっていないように思える。前者ならトップクラスの児童を誉めるには生活欄や所見欄に書くことになる。

 その意味では、所見欄や生活欄を通知表の前面にして、教科学習の評価を後にすると、どこに価値をおいているのかが分かりやすい。誠実な言動、他への奉仕活動などを、他との比較でなく丁寧に記述したい。
 唯一の比較は昨日の自分と今日の自分がどう変わっているかのみが、確かなものとなる。それ以外はすべて他との比較なので常に揺れ動くため基準にはならない。一ミリの変化があればよいではないか。

 ある三人の兄妹に伯父さんがプレゼントを持ってきた。数を間違えて末っ子の5歳の子の分が足りない。この子は伯父さんに何と言っただろうか。「僕のプレゼントはお姉ちゃん達の喜ぶ笑顔がプレゼントなんだよね。だから大丈夫」と予想外の話をした。これは日頃の大人の姿が投影されている。
 また、赤ちゃんを抱いた母親がバスに乗ってきた。次の瞬間、ほぼ全員が席を立った。これは残念ながら日本ではなくアメリカでの事である。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~