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東京・青ヶ島の学校から~日本一人口の少ない村の学校での取り組み~【第3回】

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給食に込められた「地域の想い」と食育

 今日のキャベツは○○さんの畑で採れたものです―。「いただきます」のあいさつの際、給食当番の子供がその日の献立について説明をします。島の畑で採れた野菜等が、地域の方々から食材として給食に提供されることがたびたびあります。
 主として、キャベツ、キュウリ、小松菜、ほうれん草、鶏卵、パッションフルーツ等です。島の食材を給食に使うことで、青ヶ島の自然に目を向け、島の人々の優しさを感じ、青ヶ島を誇りに想う気持ちを培います。
 食材を提供してくれる方は何人もいます。そのうちの一人、佐々木茂欣(しげよし)さんは、「この島は船の欠航が多く、生鮮食料品の確保が難しい事情がある。そのような点で学校の栄養士の方の苦労がよく分かる。学校の役に立ちたいと思って食材を提供している。食材も給食で使える良質のもののみを提供しています」と話してくれました。
 船の交通事情により安定した給食の食材確保が難しい島であるという実情を通して、学校が島の方々にいかに大切に思われ、支えられているかを感じることができます。
 青ヶ島小中学校の給食は、目の前の太平洋を望むオーシャンビューのランチルームで小中学生・教職員が全員で食べます。栄養士が趣向を凝らした献立を考え、自校の調理室で調理されます。そして、毎月19日の食育の日には、「ま・ご・わ・や・さ・し・い」(※)を子供たちと確認します。これは、バランスのよい食事になるための合言葉で、「今日の給食では『ま』は何でしょう。」とクイズをしながら子供たちは覚えます。
 「給食を楽しみにして子供たちが学校に来るような、そんな給食を提供できることを目指しています。」と須之内詠世栄養士は言います。例えば、47都道府県の名物一品を給食に入れて提供することもあります。数年をかけて全国制覇まで残り数県分となりました。
 また、月に1回、「キャロットスター」の日があり、誰かの給食の中に星形のニンジンが1つだけ入っています。入っていた子供は大喜びで、その記念として写真がランチルーム前に掲示されます。
 子供たちに人気なのは、学期の最後の“お楽しみ給食”です。献立は須之内栄養士が調理員と相談して決め、当日まで秘密になります。
 このような楽しい給食の工夫により、子供たちが給食を残すことは少なくなっています。唯一の難点は、船の欠航が続くと食材が不足し、献立を変更しなくてはならない場合が月に何度かあることです。
(木下和紀・青ヶ島小中学校校長)
 ※「ま」…豆類、「ご」…ごま等、「わ」…わかめ等海藻、「や」…野菜、「さ」…魚、「し」…しいたけ等きのこ類、「い」…いも類
(写真は献立を秘密にして提供する「お楽しみ給食」の模様)

東京・青ヶ島の学校から~日本一人口の少ない村の学校での取り組み~